著者紹介

株式会社ウェルネスプランニング札幌
代表取締役 小松信隆 氏

小松氏

コンサドーレ札幌 管理栄養士
ノルディーア北海道 栄養アドバイザー
新札幌駅前内科循環器 管理栄養士 
北海道体育協会スポーツ医科学委員会トータルサポート測定事業相談員
道内の各大学・専門学校にて非常勤講師を務める
 ・天使大学(スポーツ栄養学)
 ・日本赤十字北海道看護大学(臨床栄養学)
 ・札幌国際大学(栄養学)
  ・北海道体育大学校(スポーツ栄養学)

第2回 三大栄養素とスポーツ

勝つためには「たんぱく質」をどう食べるか?

 今回は「たんぱく質」、「脂質」、「炭水化物(糖質)」、「ビタミン」、「ミネラル」を解説します。

まずは「たんぱく質」です。
先月は「たんぱく質」は”身体をつくる”栄養という話でした。
もちろん、他の栄養素も関係していますが、”身体をつくる”ために一番重要な栄養は「たんぱく質」です。
走ったり、跳んだり、全ての動作に必要な”筋肉は「たんぱく質」でできています”。

 では、”「たんぱく質」をいっぱい食べたら、強い身体をつくれるのか?”
必ずしもそうではありません。
肉を食べたら強くなれそうなイメージはありますが、あくまでもイメージです。
また、「たんぱく質」は無駄の多い栄養で、消化・吸収するために多くのエネルギーが必要になるため、他の栄養をとる時よりも無駄が多いのです。
さらに、分解の過程で毒素を作ってしまうために、食べ過ぎには要注意の栄養なのです。
食べなきゃ身体はつくれませんが・・・。

「たんぱく質」は身体をつくるために必要!

 

 でも、量を考えなければいけません。

もう一つ重要なことがあります。
身体をつくるために必要な「たんぱく質」は、身体をつくるために必要ですが、”走ったり、跳んだりする時のエネルギーにはなりません。”
つまり、「たんぱく質」は身体をつくることはできても、通常はエネルギーにならない栄養でもあるのです。

 では、エネルギー(元気のもと)になる栄養は?というと、「炭水化物(糖質)」と「脂質」です。
数行前に「たんぱく質」はエネルギーにならないと書きましたが、実は、「炭水化物(糖質)」と「脂質」が足りなくなった時だけエネルギーになります。
そのように、「たんぱく質」は非常事態用のエネルギー源なので、どこにも貯められていません。
そういう栄養なので、「たんぱく質」がエネルギーになる時には、筋肉や内臓を分解してエネルギー源にしているということになります。
毎日の辛い練習で、せっかく作った筋肉も分解されてしまったら大変ですね・・・。
成長にも「たんぱく質」が必要なので、どんなにいっぱい「たんぱく質」を食べても、他の栄養が足りないために、”身長も伸びない”、”伸びてもヒョロヒョロ・・・”ってことにもなりかねません。

「たんぱく質」をどう食べるか!

”ごはん”、”おかず”というように食事をわけると、「たんぱく質」は”おかず”です。
さらに、「たんぱく質」が多く入っている”肉、魚、卵、豆腐や納豆など”は、”メインのおかず”になっているはずです。

この”メインのおかず”は”おかず”の1/2にすると良いでしょう。
食事の半分は”ごはん”、半分は”おかず”、更に”おかず”の半分を「たんぱく質」(食卓の1/4)に!
「それで足りるの?」と思われた方も多いかと思いますが、それで丁度良いのです。

 実は、「たんぱく質」を食べると必ず「脂質」がついてきます。
脂の無い肉や魚が無いように、「たんぱく質」が増えれば増える程、「脂質」も増えてしまうわけです。
でも、大丈夫です。
食事の1/4が「たんぱく質」であれば、「脂質」の摂り過ぎになりにくいのです。

 上手に「たんぱく質」を食べて、強い身体をつくりましょう!

「脂質」にはどんな役割があるのか?

 「たんぱく質」が”身体をつくる”栄養であることに対して、「脂質」と「炭水化物(糖質)」は”力になる”栄養です。
”力になる”栄養の中でも「脂質」は1gで9kcalとコンパクトでカロリーの高い栄養素です(「炭水化物(糖質)」は1gで4kcal)。
しかし、「脂質」は単独でエネルギーになれません。
「炭水化物(糖質)」と一緒に使われて走るためのエネルギーになるのです。

他にも「脂質」には”身体をつくる”ことや”身体をつくるお手伝い”の役割もあります。
”身体をつくる”役割は、筋膜などの膜の材料になっていること。
”身体をつくるお手伝い”とは、身体をつくるために必要な”ホルモン”の材料になっていることなどがあります。
決して、お父さんの”ぽっこりおなか”をつくるお手伝いをしているわけではありません・・・。

 ちまたで悪者扱いされている”コレステロール”も「脂質」の仲間です。
この”コレステロール”が低すぎると肉離れ(筋膜の損傷)も治りにくいのです。
色々な役割をもっている「脂質」を上手に食べなければいけないですね。

勝つために「脂質」をどう食べるか?

 上手に食べると言っても、どう食べたらいいのか?
実は、身体には非常に多くの「脂質」が貯められています。
「そんなこと知ってるよ!」と思っている方が多いと思いますが、実際には想像をはるかに超える量なのです。

例えば、体重50kg、体脂肪率10%のジュニアアスリートの場合、35000kcalの貯えがあります。
かなり体脂肪率が低く、もう少し脂肪があっても良いのでは?と思うぐらいの体型ですが、”コンビニサイズのおにぎり200個分”以上のカロリーなのです。
(ってことは・・・、体脂肪率20%であれば400個以上・・・。)

 また、「脂質」は意識しなくても食べてしまう栄養です。
その理由は、「たんぱく質」を食べようとして肉や魚を食べると、必ず「脂質」も同時に食べていることになるからなのです。
つまり、「脂質」は食べようとしなくても食べてしまうもので、減らすことが大変な栄養でもあります。
でも大丈夫です。
洋食に比べて和食は「脂質」が少なくても美味しく食べることができるのです。
海外のナショナルトレーニングセンターの食事で、”ゆでたパスタに塩をふっただけ”といったメニューがあります。(もちろん”おかず”も別にあります)
美味しくはないので、選手は食べるのに苦労しているようですが、日本では”おにぎり”という美味しいものがあります。
場合によっては”おにぎり”だけで食事が終わっても大丈夫ですね。

 ”おかず”を中心に食べてしまうと、「脂質」はどこまでも増えてしまいますが、”ごはん”を主に食べることによって、「脂質」をちょうど良く食べることができるのです。
主食が”お米”ということが、相当なアドバンテージになっている一例です。

 少し前にも書きましたが、”ごはん”を半分、”おかず”を半分にすることが大事なのです。
日本に生まれて良かった!

現代のジュニアアスリートには食事以外の「脂質」が問題!

 食事以外の「脂質」とは”お菓子”です。
確かに子どもに”おやつ”は重要であり、ジュニアアスリートにも食事以外の栄養補給が必要な場合も多くあります。

少し脱線しますが、”おやつ”と”お菓子”は一緒でしょうか?
”おやつ”に”お菓子”は含まれますが、一緒ではありません。
”おやつ”とは、3回の食事だけで必要な栄養を摂りきれない場合に、食事と食事の間に補助的に食べるものです。
”おやつ”は”お菓子”である必要はありません。
実は、この”お菓子”に「脂質」がいっぱい入っているため、肝心な食事の量が減ってしまっています。
これでは本末転倒ですね・・・。
前回のコラムにも書いた、貧血の予備軍のほとんどは”お菓子”の食べすぎによって、食事が十分に食べれないことが原因なのです。
”おやつ”は「脂質」の少ないものを選んで、食事に影響しないように食べることが大事ですね。

「炭水化物」の役割

 今月は、もう一つの”力になる栄養”である「炭水化物」です。
実は「糖質」と「食物繊維」をまとめて「炭水化物」と言います。
「食物繊維」は”力にならない栄養”なので、スポーツ関連の本や雑誌には「糖質」だけ載せられることが多いのですが、あえて、「糖質」と「食物繊維」を併せて説明します。

まずは「糖質」です。
「糖質」は”力になる栄養”の中でも、特に重要な栄養です。
更に「糖質」が無ければ「脂質」はエネルギーになれません。
また、「糖質」が足りなければ身体の「たんぱく質」を分解してエネルギーを作ってしまいます。
更に、「脂質」の貯えが35000kcalに対して(体重50kg体脂肪率10%のジュニアアスリート)、「糖質」は1500kcal程度しか貯えがありません。
1500kcalは、練習やトレーニングが無い日に必要なカロリーすら下回っているため、毎日、毎食補給しなければならない栄養です。
”走ったり”、”跳んだり”、全てのジュニアアスリートの原動力になっている栄養が「糖質」なのです。

 次に「食物繊維」です。
「食物繊維」は、人間であればエネルギーにすることが出来ない栄養です(牛であれば別ですが・・・)。
しかし、「食物繊維」は一緒に食べるものの”吸収をゆっくり”にしてくれる栄養で、エネルギーを長持ちさせてくれる栄養でもあります。
実は、吸収が早すぎる「糖質」だけを摂っていると、バテやすくなることも多いのです。
(詳細は今後の話の中で説明します)
”吸収がゆっくり”になると言うことは、お父さんやお母さんのダイエットにも最適な栄養なのです。

 「糖質」と「食物繊維」はジュニアアスリートにとって、最も重要な栄養の一つであることに間違いはありません。

勝つために「炭水化物」をどう食べるか?

 ”「炭水化物」の役割”にも書いたとおり、1500kcal程度しか貯えることができない「糖質」は、3回に分けて食べると500kcal、2回で食べようとすると750kcalです。
もし、コンビニサイズのおにぎりで「糖質」を摂ろうとすると、500kcalで3個、750kcalで5個のおにぎりを食べなければなりません。
一度に5個のおにぎりはちょっと・・・と思われた方が多いのではないでしょうか?
つまり、1日3回に分けて「糖質」を補給しなければ、身体の「たんぱく質」を分解してしまい、成長は愚か、せっかくのトレーニングが台無しになってしまいます。

「1日3回に分けても、おにぎりを一度に3個も食べなきゃいけないの・・・?、うちの子はそんなに食べれない・・・。」という方も多くいることでしょう。
そんなことでは、試合終了の瞬間まで走り続けることは出来ません。
相手チームの足が止まってきた試合終了間際の時間帯に、走り続けれることはアドバンテージになるのではないでしょうか。
「そんなことを言われても、そんなに食べれないから・・・」、という方は、”ごはん”よりも”おかず”が多いのでしょう。
または、お菓子やジュース、スポーツドリンクの摂り過ぎはありませんか?

 とにかく、常に必要で最も重要なエネルギー源は「糖質」です。
「糖質」をしっかり食べることが、競技力向上や身体づくりに必須なのです。

”おやつ”を上手に使って!

 「勝つためにと思って、頑張って食べようとするんだけど・・・、やっぱりおにぎり3個は食べれない・・・。」という方は、”おやつ”を上手に使ってみてはどうでしょうか。
でも、注意が必要です。
”お菓子”は”おやつ”の一種ですが、「脂質」が多く含まれている場合が多いのです。
「糖質」を補給するために”おやつ”を食べたつもりが、”お菓子”だったので「脂質」を補給してしまった・・・。
これでは本末転倒です。
また、”おやつ”を食べる時間を考えなければ、肝心な”ごはん”が食べれなくなってしまいます。
「脂質」が少ない”おやつ”を”ごはん”に影響しないように食べることも、1500kcal程度しか貯えられない「糖質」を補給するためには重要なことなのかもしれません。

目指せ!未来のトップリーグプレーヤー!

印刷用(pdf)